管理栄養士のキャリアに厨房経験はどう影響するのでしょうか?免許がなくてもできる厨房業務は、管理栄養士のキャリアに不用なのではないか、と疑問を抱えている管理栄養士の方も多いでしょう。そこで本記事では、厨房経験はキャリアにどう影響するのかについて、栄養士に求められるスキルと一緒に詳しく紹介します。
栄養管理・栄養指導への影響
管理栄養士が厨房経験を積むことで、栄養管理や栄養指導に必要な知識・スキルを身につけられます。ベテラン管理栄養士のほとんどが、厨房経験が役に立っていると実感しているため、無駄な経験ではありません。
ベテランであるほど厨房経験が長い
ベテランの管理栄養士であるほど、長い厨房経験を積んでステップアップしています。多くの場合、20代前半から厨房業務を経験し、20代後半で栄養管理・栄養指導を経験する流れです。経験なしも一定数いるため、必須とはいえませんが、厨房経験がある管理栄養士がほとんどでしょう。
厨房経験を業務に活かせていると実感
厨房業務には、洗浄や盛り付けなど免許が必要ない業務も含まれています。そのため、厨房業務の必要性に疑問を抱えている管理栄養士も少なくありません。しかし、多くのベテラン管理栄養士が厨房経験を業務に活かせているため、決して無駄な経験ではありません。
厨房経験を積んだ管理栄養士のほとんどが、業務の役に立っていると実感しているのです。また、厨房業務を経験することで、調理から食事を提供するまでの全体の流れを把握しやすくなります。栄養管理や栄養指導に役立つ知識・スキルを身につけられるでしょう。
栄養士に求められるスキル
こちらでは、栄養士に求められるスキルについて解説します。
献立作成のスキル
厨房での調理経験を経て具体的な栄養指導ができるため、食事の提案に説得力があるのです。食事を楽しめるような工夫や世界の食文化を理解することも大切。
給食調理では、食材や調理にかかるコストを考慮したり、病院では患者の状況に応じて栄養面でケアできる食事だったり、職場に合った献立作成スキルが必要です。
コミュニケーション能力
栄養士には、職場のメンバーや患者とのコミュニケーションを円滑にする能力が求められます。大量に調理する厨房業務では、チームプレーが必須です。
厨房調理でコミュニケーションの取り方やスムーズな作業動線、適切なコミュニケーションは、周囲との信頼関係構築にも役立つスキルです。
栄養・臨床の基礎知識
栄養士には、栄養学や疾患、解剖生理、治癒に関する臨床の基礎知識を身につけることが求められます。必要な栄養素を取り入れられたり、治癒力を向上できたり、栄養面から患者をサポートすることが可能です。
病院では、患者の状態に合わせた献立作成や栄養指導が求められます。学校では、食育指導や残量チェックなど、職場に応じた専門知識も必要です。栄養学の最新知識を学ぶことも大切でなので、積極的に知識を身につけられるように取り組むとよいでしょう。
調理スキル
栄養士は、自分で献立を作成して調理する機会が多くあります。考えた献立を形にする調理技術が必須です。大量に調理する職場では、安全であることが重要。衛生管理や作業動線を考慮しながら、手際よく短時間で調理する技術が求められます。
また、栄養指導の際には、最低限の調理スキルがなければ具体的な指導ができません。食材に対する調味料の量は適切か、どのように調理したら美味しく食べられるのか、などの指導が必要です。調理スキルは、調理指導やレシピ紹介にも役立ちます。
WEBでアンケート!厨房経験は業務の役に立っている?
管理栄養士としての厨房経験が役に立つのか気になるところですよね。実際に管理栄養士として働いている方にWEBアンケートで聞いてみました。
こちらがアンケート結果です。
「非常に役立っている」が9%、「役立っている」が19%と、合わせて3割近い方が厨房経験が役に立つと感じていることがわかります。
厨房での経験があると、管理栄養士として現場での実践的な知識が身につきます。例えば、食材の扱い方や調理のコツ、衛生管理、作業の効率化など、厨房で得られるスキルは、栄養指導や献立を立てるときにも役立ちます。具体的には、実際の調理手順を知っていると、利用者や患者さんにとって無理なく実行できるアドバイスをしやすくなり、栄養指導がより現実的で親しみやすいものになります。
さらに、厨房ではスタッフと一緒に協力して作業を進めるので、コミュニケーションやチームワークも自然に身につきます。これは、医療や福祉の現場で他の職種の方と連携して働く際にも役立つ力です。
一方で、アンケートでは「どちらとも言えない」が48%、「あまり役立っていない」が23%と、多くの方が「一概には言えない」と感じています。これは、厨房での経験が役に立つかどうかは、管理栄養士として働く場所や担当する業務内容によっても違いが出ることを示しています。
それでも、現場の経験を持つことで利用者に寄り添ったアドバイスができるため、厨房経験は管理栄養士の業務にとって良いメリットがあると言えるでしょう。
厨房経験は役に立つ
厨房経験は、役に立ちますが必須ではありません。ほかの方法で調理経験を積んでいる場合は、不要なケースもあります。
厨房経験は役に立つが必須ではない
管理栄養士の厨房経験は、キャリアに役立ちます。しかし、厨房経験がない管理栄養士も一定数いるため、必須ではありません。栄養管理・栄養指導に役立つという意見が多い厨房経験ですが、短時間の病棟栄養管理やアルバイトで調理経験があるなど、厨房経験が必要ないケースもあります。
ほかの方法で調理経験を積む
厨房経験がなくても、アルバイトや手伝いなどで調理経験を積む方法もあります。豊富な調理経験がある方は、管理栄養士としての厨房経験が不要な場合もあるでしょう。
しかし、管理栄養士として厨房経験を積んでおくと、全体の流れと相手の立場が分かるため、指示しやすくなります。調理士との円滑なコミュニケーションや作業的に無理がある場合は、経験を活かして別の方法を提案できるのです。
まとめ
この記事では、管理栄養士のキャリアに厨房経験はどう影響するのか、についてお伝えしました。実際、経験が長いほど厨房での経験も長い傾向があります。そして、その経験が栄養管理や栄養指導に役立つことが実感されるとのことです。
管理栄養士には、料理のスキルやコミュニケーション能力など、さまざまなスキルが必要ですが、厨房経験があることで全体の流れを把握しやすくなったり、調理士と円滑なコミュニケーションを図ることができます。厨房経験は、栄養管理や栄養指導にとって重要な業務の一部といえるでしょう。