調理師と聞いて、どんなイメージをもちますか？ほとんどの方は「料理をする人」と考えるでしょう。もちろんそのとおりですが、ひと言に調理師といっても働き方・働き場所は多岐にわたります。
そこで今回は、調理師について情報をまとめてみました。仕事内容や資格も解説していますので、興味がある方はぜひ参考にしてください。
調理師の仕事と1日の流れ
料理に携わる仕事のことを「調理師」といいますが、ひと言に調理師といっても活躍できる場所はさまざまです。そのため、同じ調理師でも働く場所によって業務内容が微妙に異なります。
ここでは、調理師の特徴と1日の流れについて解説します。
調理師とは
調理師とは、オーダーに沿って決められた時間内に調理し、提供するのが主な仕事です。働く場所によって業務内容は異なりますが、基本的な業務は共通しています。
また調理するだけでなく、口にする人々の安全面を考えることも調理師の大切な仕事のひとつになります。そのため、栄養や食品衛生に関する知識・技術も必要になってきます。
活躍できる仕事場
調理師が活躍できる場所は、学校・福祉施設・医療機器といった集団給食施設をはじめ、宿泊施設やレストラン・カフェ・飲食施設など多岐にわたります。料理に携わる場所であれば比較的活躍しやすいため、就職・転職を考えている方は「どこで働きたいか」を明確にしておくと、自分に合った場所で活躍できます。
それぞれの職場の特徴や業務内容などを知っておくこともプラスになるでしょう。
たとえば飲食店は、お客さんのオーダーに沿って調理をします。飲食店の規模によっては直接お客さんのもとへ提供する場合もあるため、接客業としてのスキルも身につきます。
主に、レストラン・カフェ・居酒屋などが挙げられます。
宿泊施設は、館内にあるレストランや食事処などで働きます。どこで調理をおこなうかで業務内容は変わってきますが、主にビュッフェやレストランなどの準備・補充になります。
一方で福祉施設では、栄養士の献立に沿って患者さんの食事の準備・片付けをおこないます。食事をとおして栄養管理にも関われるので、スキルアップしやすく、やりがいも感じやすいでしょう。
1日の流れ
調理師の1日は、食材の仕込みから始まります。作るメニューにあわせて野菜のカットや肉・魚に下味をつけ、すばやく調理・提供できるように準備をします。1日のメニューや注文によって仕込む食材が異なるため、毎日きちんと確認しておきましょう。
営業時間になると、仕込んでいた食材を調理・盛り付けていきます。とくに飲食店は営業時間になるとすぐに注文が入るため、スピーディーな対応が欠かせません。ビュッフェスタイルであれば、空にならないように意識しながら調理・補充をおこないます。
また、ただ皿に料理を盛るのではなく、料理を見るだけで食欲がわくような魅力的な盛り付けをすることも大切です。もちろん、お客さんが食べ終わったあとの後片付けや調理器具のメンテナンスもしっかりおこないましょう。
一通り業務に慣れてきたら、食材の仕入れを任されたりします。働く場所によって仕入れ方法はさまざまですが、自身で業者に発注したり、その日に必要な食材を市場まで買いに行ったり、受け取った食材を正しい場所へ保管するのも大切な業務のひとつです。
季節に応じてメニューが変わることや、天気によって出る量も変化する場合もあるでしょう。季節のメニューの把握や翌日・翌々日の気候を予測して仕入れを行わなければいけません。そのため、提供するメニューや普段から出る量を把握しておく必要があります。
※勤務先によっては最初から仕入れを任される場合もあります。
調理師免許の資格取得方法は２種類ある
調理師免許の取得方法は、２つあります。
ここでは、それぞれの資格取得方法について解説します。
調理師養成施設を卒業
いわゆる専門学校や調理科のある学校を卒業して取得する方法です。よりスムーズに調理師になるには厚生労働省認可の学校に通う必要がありますが、専門家への進学がむずかしい場合でも、高校・短大・大学に調理科があれば問題なく資格が取得できます。
学校では、調理師に関する知識・技術を学ぶことになります。授業時間数は、必修科目960時間（32単位）以上、教育内容は6つ（食生活と健康・食品と栄養の特性・食品の安全と衛生・調理理論と食文化概論・調理実習・総合調理実習）となっています。
2年以上の調理業務経験
もうひとつは、2年以上の調理業務経験があることです。専門学校に通えなかった場合でも、飲食店を含む調理業務の経験があれば調理師試験が受けられます。
この方法で資格を取得するメリットは、学費がかからない点です。とくに学校卒業後、調理師として働きたい場合は、わざわざ専門学校に入学するよりも、実務経験を積んだほうが働きはじめてからも有利になります。
ただし、独学での勉強になるため、仕事との両立で挫折しやすいのがデメリットです。根気がある方はチャレンジしてみてください。
調理師に向いているのはどんな人？
どんな仕事でも、向き不向きがあります。もちろん、向いていないからといって諦める必要はありませんが、事前に向いている人を知っておくことで、目標を定めて調理師を目指せるようになります。
ここでは、向いている人の特徴を4つ紹介します。
料理が好き
料理をするのが主な仕事なので、当然「料理好き」であることが一番の条件になります。働きはじめると多くの人に料理を提供することになるため、料理嫌いでは成り立たない仕事です。
ほかにも、食べるのが好きな方や自分が作った料理をいろんな人に食べてもらい方、自分の料理で喜ぶ顔を見たい方も向いているといえます。また、料理に対して向上心があることも大きなポイントでしょう。
食に対する探究心がある
次に、食に対する探究心があり、常に向上心をもっていることです。料理や食は、日々変化しています。人気のあるものもあれば、流行が過ぎ、求められなくなるものもあります。
それらに対し、しっかり適応できることも調理師を目指すには欠かせません。新しいメニューを考案したり、食材にあう味付けを研究したり、食を追求することでスキルアップにもつながるでしょう。
味覚センスがある
料理に対するセンスも、向き不向きに大きく関係します。とくにレストランやカフェで働く場合、お客さんの目を惹くセンスが問われるでしょう。
実際、調理師はほかの人にはない味覚や美的センスをもっている方が多く、どんな食材でも魅力的にデザインします。微妙な味の変化に敏感な方も多いですから、そういった方は調理師の適性が高いといえるでしょう。
もちろん、すべての人がまったく同じセンスを持ち合わせているわけではありません。なかには「センスはないけど、調理師を目指したい」という方もいるでしょう。
味覚や美的センスは、努力次第でもなんとかなります。自身のセンスに自信がない方は、ぜひたくさんの料理を食べたり、見たり、作ったりして身につけましょう。
対応力・忍耐力
対応力や忍耐力がある人も、向いているといえます。というのも、さまざまな状況に応じて、調理の優先順位を決めなければいけないからです。
ときには、当日にメニュー変更になることもあるでしょう。臨機応変な対応ができる方は調理以外の場面でも役に立つため、上司や先輩、お客さんにも柔軟な対応ができるようになります。
一方で忍耐力が高い人も、調理師に向いています。資格を取得すれば、すぐに調理や盛り付けを任されるわけではありません。
実務経験がある方は比較的スムーズに調理を担当できますが、ほとんどの場合、見習いからのスタートになります。雑用からはじまり、仕入れ・仕込み・後片付けをこなしたあと、盛り付け・調理とステップアップしていきます。
焦ってしまうと、そこで試合終了です。着実に取り組める忍耐強い人は、調理師として最適な人材といえるでしょう。
まとめ
調理師について、仕事内容や資格について紹介しました。調理師は国家資格なので、きちんと資格を取得し、経験を積む必要があります。
最初からメインの調理を任されるわけではないため、努力と根気が必要になりますが、少しずつ着実にステップアップすることで、調理のプロとしてさまざまなフィールドで活躍できるようになるでしょう。
また、キャリアアップできるのも、調理師のメリットです。飲食店で経験を積んだあとは、料理教室や学校の講師になるのも夢ではありません。
料理が好きな方や、多くの人に自分の料理を食べて笑顔になってほしい方は、ぜひ調理師を目指してみてください。
