栄養士は、国家資格ということもあり、資格を取得するまでのハードルが高いことで知られています。そのため、取得しているだけで十分なスキルになるでしょう。しかし、就職・転職で差別化を図るなら、やはり別途資格を取得しておいたほうが有利になります。
そこで今回は、栄養士が取得しておくと有利になる資格をまとめてみました。取得がむずかしいものから簡単なものまで幅広く存在するので、ぜひ仕事に役立つ資格を選んでください。
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糖尿病療養指導士
糖尿病療養指導士は、糖尿病を専門に指導をおこなう専門家です。糖尿病の発症には「1型」「2型」に分類され、同じ病気でも原因がまったく異なります。
子ども・痩せ型・青年に多く発症する1型に対し、2型は生活習慣病がほとんどです。日本人は約90%が2型になり、食事・肥満・運動不足はもちろんのこと、遺伝によって発症する場合もあります。
糖尿病療養指導士は、そういった糖尿病についての幅広い知識を習得し、患者さんが自己管理できるように指導します。
対象となるのは、過去10年以内に2年以上、医療施設で継続勤務していること、さらに通算1,000時間以上糖尿病患者の指導・援助をおこなった有資格者です。
食品保健指導士
食品保健指導士は、消費者が安心・安全に健康食品を選択・購入できるように、指導や相談をおこなう専門家です。
健康食品とは、いわゆるトクホと呼ばれるもの以外にも、さまざまな商品が存在します。トクホに関しては、国の認定を受けているため安全性が高いことがわかりますが、そのほかの商品に関しては明確な定義がありません。
そこで、消費者が正しく利用できるように、日本健康・栄養食品協会が設けたのが食品保健指導士です。ドラックストア・薬局・老人保健施設や特定保健指導などで、この資格が非常に役に立ちます。
サプリメントアドバイザー
サプリメントアドバイザーは、サプリメントの知識をもち、消費者に的確なアドバイスをおこなう民間資格です。日本臨床栄養協会が定めたもので、サプリメントのほかに保健機能食品に関するアドバイスもおこないます。
サプリメントは、手軽に摂取できる一方で、用量用法を守らないと健康を損なう危険性があります。そういった困難やリスクを避けるために、アドバイスをする役割を担っています。
健康運動指導士
健康運動指導士は、個人が安全かつ効果的に運動がおこなえるように、運動プログラムの作成や実践指導計画の調整などをおこなう専門家です。
昭和33年から認定事業として国民の健康づくりのために創設されましたが、平成18年度からは厚生大臣の認定事業として、公益社団法人健康・体力づくり事業財団が創設されています。
個人の心身の状態に応じた運動プログラム指導をおこなうため、主に病院や高齢者介護施設などで働くケースがほとんどです。
認定管理栄養士
認定管理栄養士は、管理栄養士としての高度な専門知識と実務経験を有する者に与えられる資格です。取得には、日本栄養士会が実施する講習を受講し、審査を通過する必要があります。
病院や介護施設、学校などでリーダーシップを発揮し、栄養指導や食事管理の改善を推進する役割を担います。資格取得後も継続的な研修や実績報告が求められ、専門性の維持が重要とされています。
病態栄養専門管理栄養士
病態栄養専門管理栄養士は、病気に対する栄養管理の専門的な知識と技術を持つ管理栄養士に与えられる資格です。取得には、一定の実務経験と、病態栄養に関する研修や講習の受講が必要です。
この資格を持つ管理栄養士は、医療機関や施設で、特に栄養サポートが重要となる患者に対して適切な栄養指導を行い、治療の一環として食事療法を提供します。資格の更新には、継続的な研修や症例報告が求められ、専門性を維持します。
NSTコーディネーター
生活習慣の予防・治療、生活の質を向上させるために欠かせないのが栄養サポートチーム(NST)の存在です。日本病態栄養学会が設けた資格で、円滑なNSTを稼働するためにコーディネートします。
最近ではNSTが稼働している医療機関も増えていますが、資格を取得するには学会に所属している医師・病態管理栄養士・認定管理栄養士でなければいけません。そのため、栄養管理における高い知識と技術も求められるでしょう。
がん病態栄養専門管理栄養士
がん病態栄養専門管理栄養士は、がんの栄養療法に特化した専門家です。男女ともにがんによる死亡率が高い日本では、がん患者に対する適切な栄養管理や高度な知識・技術が欠かせません。
がん病態栄養専門管理栄養士は、さまざまな種類のがんに対し、円滑な治療をおこないます。それは、手術療法や放射線療法だけではありません。治療中・治療後の薬物療法やリハビリテーション、個人の体質やメンタルを考慮した生活療法など、全面的に指導します。
資格を取得するには、病態栄養専門・認定管理栄養士・臨床栄養認定管理栄養士(日本栄養士会)の何れかを取得し、通算2年以上の指定研修を受ける必要があります。
腎臓病病態栄養専門管理栄養士
腎臓病病態栄養専門管理栄養士は、腎臓病に特化した高い知識・技術を有している民間資格です。日本病態栄養学会・日本栄養士学会・日本腎臓学会によって設けられ、資格を取得するには病態栄養認定管理栄養士もしくは臨床栄養認定管理栄養士の資格が必要になります。
臨床経験も必要です。
健康運動実践指導者
健康運動実践指導者は、対象者の健康やメンタルに沿って作成された運動プログラムに基づいて指導を実施する専門家です。健康運動指導士と混同されがちですが、あくまで運動指導のみをおこなうため、業務内容は異なります。
また、対象者はかならずしも病気を患っているとは限らず、生活習慣病や肥満などの予防を目的として指導する場合もあります。健康運動指導士もあわせて取得しておくと、活躍の幅が広がるでしょう。
糖尿病病態栄養専門管理栄養士
糖尿病病態栄養専門管理栄養士は、糖尿病に関する高度な栄養管理の専門知識と実践スキルを持つ管理栄養士に与えられる資格です。資格取得には、糖尿病治療に関する一定の実務経験と、日本栄養士会が提供する講習や研修の修了が必要です。
この資格を持つ管理栄養士は、医療機関で糖尿病患者の食事療法を担当し、適切な栄養指導を通じて血糖管理や生活習慣改善をサポートします。資格の更新には、継続的な研修と症例報告が求められます。
食物アレルギー(管理)栄養士
食物アレルギー(管理)栄養士は、アレルギーをもっている人が安心・安全に食事ができるようにサポートする民間資格です。
食物アレルギーにもいろんなタイプがいるため、原因・症状は一人ひとり異なります。そのため、アレルギーに関する専門的知識を有していることと適切な食事が提供できる栄養士であることが求められます。
給食管理分野に関する食物アレルギー栄養士も存在します。
公認スポーツ栄養士
公認スポーツ栄養士は、アスリートの栄養管理や自己管理において、正しい栄養を摂取できるように教育・食環境のサポートをおこなう民間資格です。
一流アスリートだけでなく、スポーツに取り組んでいる人々の健康を全面的にサポートするため、子どもから年配者まで幅広く対応します。
監督やコーチなどのさまざまな専門家と連携して管理するため、管理栄養士の資格はもちろんのこと、スポーツの栄養指導経験があることも必要です。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士は、摂食・嚥下障害に対するリハビリテーションの専門的な知識と技術を持つ医療専門職に与えられる資格です。取得には、摂食・嚥下リハビリテーションに関する実務経験や学会が定める講習の受講が必要です。
この資格を持つ者は、食事や飲み込みに困難を抱える患者に対して適切なリハビリ計画を立て、支援を行います。資格更新には、実務経験の報告や継続的な研修の受講が求められ、高い専門性が維持されます。
在宅訪問管理栄養士
在宅訪問管理栄養士は、在宅で生活する高齢者や病気の患者に対し、専門的な栄養管理を提供するための資格です。資格取得には、日本栄養士会が実施する研修を受講し、在宅訪問における実務経験が求められます。
この資格を持つ管理栄養士は、医療機関や介護施設と連携しながら、患者の栄養状態を評価し、適切な食事指導を行います。個々の患者に合わせた栄養サポートを提供し、生活の質向上を目指す重要な役割を担います。
栄養経営士
栄養経営士は、栄養管理に加え、チームマネジメントや経営面での専門知識をもつ職種です。臨床スキルやコミュニケーション能力に加え、リスクマネジメント、コンプライアンス、人材育成など幅広い能力が求められ、栄養士や管理栄養士のスキルに経営視点を取り入れる役割を担います。
栄養経営士には、現状分析や目標設定、適材適所の人事配置能力が必要です。栄養部門を組織の一部として理解し、食材のコスト削減や人件費の調整、栄養指導の効率化などを通じて、経営全体の最適化を図ります。加えて、アウトカム評価や病態把握といった専門スキルも重要です。
適切な人事評価を行い、スタッフの成長を促し、部門全体のパフォーマンス向上を目指すことも栄養経営士の責任です。部門の成果を客観的に分析し、改善点を共有することで、栄養部門の成長を支援する役割を果たします。
まとめ
栄養士が取得すると有利になる資格を紹介しました。新しい資格を取得することで、知識が広がり、ほかの求職者との差別化が図れます。また、栄養士としてのスキルも高められるため、キャリアアップにも大きく貢献してくれるでしょう。
とはいえ、栄養士が有利になる資格は数多く存在します。何を選んだらよいか迷ってしまう方は、比較的簡単に取得できる資格から取ってみてはいかがでしょうか。もちろん、複数取得もおすすめです。